研究課題/領域番号 |
20340096
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
坂井 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60235116)
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研究分担者 |
奥西 巧一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30332646)
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40152342)
野村 拓司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (90373240)
中野 博生 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (00343418)
利根川 孝 福井工業大学, 工学部, 教授 (80028167)
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キーワード | スピンナノチューブ / スピンギャップ / 量子相転移 / 低次元系 / ナノ磁性体 |
研究概要 |
反強磁性量子スピン鎖を鎖間方向にも反強磁性交換相互作用で結合した系をスピンラダーと呼ぶが、これをさらに鎖間方向に周期的につないだ系をスピンチューブと呼ぶ。そのうち最も量子効果とフラストレーションの強い3本鎖スピンチューブに焦点を絞り、新しい量子現象を理論的に研究した。 従来の研究により、断面が正三角形の3本鎖スピンチューブは大きいスピンギャップを持つと考えられてきたが、我々の提案した新しいハバード模型に基づく有効理論によると、断面が正三角形であっても鎖間相互作用が弱い場合にはギャップレスになり、鎖間相互作用を変化させたときには、スピンギャップ相とギャップレス相の間の量子相転移が起きることが判明した。また、この有効理論による定性的な結論を、数値的厳密対角化・密度行列繰り込み群を用いた大規模数値解析と、現象論的繰り込みやレベルスペクトロスコピーと呼ばれる理論解析により、定量的に立証し、相図を得た。 また、有限クラスターの数値的厳密対角化と有限サイズスケーリングによる従来の理論解析により、チューブ断面の三角形上の交換相互作用が、鎖方向の相互作用に比べて十分大きい場合には、飽和磁化の3分の1のところに磁場誘起スピンギャップによる磁化プラトーが出現することがわかっているが、今年度の研究により、断面を二等辺三角形に歪ませた場合には、二等辺の結合が強い場合と、残りの1辺の結合が強い場合では、プラトー形成のメカニズムが異なり、その間には量子相転移があることが明らかになった。
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