研究課題/領域番号 |
20340098
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
初貝 安弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80218495)
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研究分担者 |
青木 秀夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50114351)
福井 隆裕 茨城大学, 理学部, 教授 (10322009)
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キーワード | 量子液体 / スピン液体 / ベリー位相 / トポロジカル秩序 / Z_2ベリー位相 / 対称性の破れ / ダイマー / エネルギーギャップ |
研究概要 |
「量子液体相」は、古典的物理量で表現できる特徴的な秩序変数をもたないことを最大の特徴とする量子相である。この観点に立ち、「対称性の破れ」の概念を使わず、量子論固有の幾何学的位相を用いる相分類の理論的枠組みを構築し、具体的な量子系の分類、特徴づけを行った。またDiracフェルミオンとしての特異なエネルギー分散に起因する特異な幾何学的位相を示すグラフェンも本研究の重要な一部であり本年度集中的な研究を行った。 本年度は具体的に以下のような研究を行った。(1)グラフェンに関して、幾何学的位相が寄与する典型的な物理量としてのホール伝導度の計算を行った。特に乱れのあるグラフェンに対してカイラル対称性とn=0ランダウ準位のトポロジカル安定性の観点に着目し詳しい数値的研究をおこないその結果をチャーン数の計算とともに公表した。(2)また、トポロジカルな物理量であるホール伝導度の有限の周波数への拡張に関しても数値的に計算を行いある種のステップ構造を見出した。さらにはDira coneの存在、ならびにカイラル対称性とフェルミオシのダブリングの問題に関しても一般的な観点から研究を行った。 (3)さらには、量子化ベリー位相ならびにその拡張に関しても研究を行い、Z_2ベリー位相によるスピン液体相の分類をリング交換模型、直交ダイマー模型、BEC-BCSクロスオーバーの現象等に関して行い、有意義な成果を得た。(4)スピンホール相に関連しては、時間反転不変性に起因するクラマース縮退する物理系における非可換ベリー接続の一般論を四元数(quaternion)を用いて構築し、Dirac単極子、Yang単極子との関連を第一第二チャーン数との関連を含めて、極めて明解な形に定式化することに成功した。
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