研究課題/領域番号 |
20340101
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
中村 浩章 核融合科学研究所, シミュレーション科学研究部, 准教授 (30311210)
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研究分担者 |
羽田野 直道 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70251402)
米満 賢治 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (60270823)
遠藤 彰 東京大学, 物性研究所, 助教 (20260515)
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
白崎 良演 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90251751)
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キーワード | ネルンスト効果 / ビスマス / フォノンドラッグ / 熱電効果 / 量子輸送現象 / 二次元電子系 / 温度勾配 / 金属半導体接合界面 |
研究概要 |
本年度の、第一の成果は、ビスマスにおける量子ネルンスト効果の新理論の構築の成功である。昨年度我々が二次元電子系を使い予言していたネルンスト係数の理論値と、1997年のBehnia(仏)グループによるビスマスの実験データとの間には定量的な相違があった。この相違を克服するべく、キャリアとフォノンの相互作用によるフォノンドラッグの効果を考慮してネルンスト係数を計算し、フィッテングパラメーターなしで定性的かつ定量的にも実験と一致する結果を得た。次に、独自にネルンスト係数測定を行うための二つの実験システム開発を行い、予備計測を行えるようになった。一つ目の実験システムは、4.2K付近で4テスラまでの磁場中のビスマススのネルンスト係数の測定を行うものである。この装置では、前述の実験で不十分な物性値を得ることを目的にした。もう一つ装置では、量子ホール系の電子温度勾配下におけるネルンスト係数の測定を行えるようになった。これは、ビスマス以外での物質で、量子ネルンスト効果を新しく探し出すことを目的としたもので、量子ホール効果の実験でよく用いられるGaAs/AlGaAs単一ヘテロ接合二次元電子系試料を用いている。本年度、ネルンスト係数の測定が行えるようになった。第二の成果として、金属-半導体接合面で作られる非対称なポテンシャルを伝導する熱流の解析を行うための基礎研究として、接合界面を通した集団的電荷輸送の非平衡グリーン関数による解析を行った。本研究により、従来の数値計算では扱えなかった定常状態での輸送特性を計算し、整流作用の抑制を再現するとともに、電荷分布の計算からそのメカニズムを解明した。
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