本研究課題で計画していることは、 (1)スピン偏極励起原子ビーム源の開発、 (2)強磁性体に吸着した有機分子を対象とした立体ダイナミクス研究、 (3)界面の電子構造の変化の観測、である。 特に3番に関して、アルカリ金属原子など反応性原子の多くは開殻系であり、表面における有機分子との反応過程に興味が持たれる。本研究課題で開発するスピン偏極励起原子ビームを用いた衝突エネルギー分解2次元ペニング電子分光法では、反応性原子との相互作用によって生成したラジカルのイオン化状態に帰属されるバンドのスピン偏極から、その反応過程に関する情報を得ることが出来る。低温の磁性体表面に反応性原子を蒸着し膜厚増加に伴う表面電子状態の変化や、昇温によって誘起される反応による磁性の変化を基板温度を変えながら観測することも目的の一つである。
|