本研究の目的は、中性原子気体のボース凝縮体を利用してシュレディンガーの猫状態を生成し、量子情報処理において培われた手法を用いて状態を厳密に評価することにある。具体的には、凝縮体中のスピン依存衝突相互作用を利用してユニタリーな形でスピンスクイーズド状態を生成し(1軸捻り)、その後発生した原子コヒーレンスの一部を光に転写し、それをフォトンカウントすることで、原子系の子猫状態を生成する。 平成21年度、我々は当初計画通り、強磁場化でのパーマロイの磁化特性の評価を行った。その結果、磁場トラップによるBEC生成と弱磁場環境の保持を両立させることが極めて難しいことが判明した。 そこで、強磁場を用いない光トラップのみによるボース凝縮体の生成実験を開始した。光トラップを行うための1um帯光源を開発し、専用の超高真空装置を立ち上げた。さらに、パーマロイによる弱磁場環境を生成することにも成功した。今年度は、これらの装置を使って、超弱磁場下にて実際に87RbのBECを生成し、当初目的を完遂する。
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