研究概要 |
平成21年度までに複合利得媒質セラミックやdisorderedセラミックを用いたカーレンズモード同期セラミックレーザーを開発し、サブ60fsのパルス幅において出力1W以上という、サブ100fsレベルのYb添加固体超短パルスレーザーにおける世界最高出力を達成した。さらに励起光源の改善により一層の高効率化も可能と考えられる。 並行してカーレンズ効果を取り入れた共振器設計コードを開発し、これによって研究当初、実験的なノウハウに依存する所が大きかったカーレンズモード同期共振器の設計、最適化が、任意共振器において計算可能になった。このようなソフトウェアは市販されておらず、非線形効果が大きい高出力超短パルスレーザー開発において大きな意味を有する。上記計算機コードを用いて一層の高出力化の為の薄型ディスクレーザー共振器を設計した結果、結晶に施す無反射コーティングのダメージ閾値以下の電界強度においても、十分なカーレンズ効果が得られる可能性が高い事がわかった。薄型ディスクレーザーでのカーレンズモード同期発振は世界で初めての試みであり、非常に高い独創性を有する。 また同時に一層の高出力化のために必要となってくる高効率かつ均一な結晶冷却技術の開発を目指し、サブmmサイズの構造体を施した金属ヒートシンクを作製した。現在表面粗さRa0.02μm以下の超高精度加工、真空技術を用いたボイドフリーな、厚さ5μm以下の高均一予備半田膜精製技術を利用した、ヒートシンクと結晶のダイボンド接合法を開発中である。 新たに開発された新規Yb添加disordered ceramicsの物理定数の測定、非常に強いdisordered構造により利得帯域が広げられたNd3+-doped Ba(Zr,Mg,Ta)O3 ceramicを用いた超短パルスレーザー光源の開発等も行った。
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