研究課題/領域番号 |
20340113
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 康之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
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研究分担者 |
市川 正敏 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (40403919)
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キーワード | 光ピンセット / 粘性測定 / 2分子膜 / 蛍光顕微鏡 / 局所力学物性 / ラメラ相 / ソフトマター / 非ニュートン流体 |
研究概要 |
本研究では、複雑な内部構造を持つソフトマター中に分散したナノサイズのコロイド粒子をレーザートラップし、試料中の各点において、その交流刺激(力学振動あるいは電場)に対する複素変位を計測することで、試料の3次元的な構造や局所的ダイナミクスに関する情報をメソスコピックスケールの分解能で得ることを目指している。また、多粒子をレーザートラップし、その運動をリアルタイム観測することで、ソフトマター中でのダイナミクスの空間的不均一の可視化を実現することも目指している。 平成20年度はこのための基礎となる電動蛍光顕微鏡、高出力赤外線レーザー、光回折素子、高感度カメラ、空間光変調器を導入して、シングルおよびマルチレーザートラップシステムの開発を行なった。開発されたシステムを用いた、単一光ピンセットによりプローブ粒子を周期的運動させて局所粘性測定を行なう能動的測定と粒子のブラウン運動追跡による受動的測定の結果を比較し、測定システムの検討を行なった。特に、内部構造を有するソフトマターである両親媒性2分子膜と水相が数百ナノメートルの周期で交互積層した構造を持つラメラ相において、膜間隔以下の蛍光プローブ粒子を用いて局所粘性測定を行なったところ、両者から得られる粘性率はいずれも水中における値の10倍程度の大きなものとなり、互いに良い一致を示した。更に、粒子の運動速度が極端に遅い場合には内部の欠陥構造に起因すると見られる非ニュートン流体的なシアシニング挙動を観察することができた。
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