研究概要 |
まず昨年度ほぼ研究のまとめ段階に入っていた相関総和相対震源決定法の日本全国の低周波地震データへの適用について、最終的に論文としてまとめ、Journal of Geophysical Researchに投稿、出版した。また一昨年度から愛知県内に設置中の地震計のデータを用いて深部微動のメカニズムを推定することに成功しその成果を日本地震学会で公表した。 今年度は昨年度開発した特徴的時定数推定法を簡略化して深部微動継続時間推定法を開発し、それと連続地震データから微動の震源位置を推定するプログラムを合成して、連続地震データから微動の位置と継続時間を同時推定するプログラムコードを作成した。これを四国西部の微動活動にあてはめ、2004年~2009年までの5年間の高精度の微動震源データベースを作成することに成功した。 そのデータベースを用いて四国西部の微動発生過程の特徴を調査したところ、微動の継続時間と微動源の時空間的なパターン、および潮汐応力に対する応答性に明瞭な相関があることがわかった。また微動源は北西南東方向に2種類の線状構造を持っており、これが過去のプレート運動の方向と対応することが明らかになった。さらにこの発展として過去のプレート方向の運動変化がフィリピン海プレートに断裂を引き起こしていることを発見した。この断裂の存在は西日本において深部微動震源が紀伊半島と四国の間で途切れていることの明快な説明となった。 以上の研究内容を日本地球惑星科学連合大会、日本地質学会、日本地震学会、米国地球物理学会の場で公表し、議論を深めるとともに、内容をまとめた論文をNature, Journal of Geophysical Research, Geophysical Research Lettersに投稿、出版した。
|