研究概要 |
本年度は岩石微惑星と氷微惑星に関する衝突破壊実験を開始した。岩石微惑星に関しては、熱進化の初期状態であるシリケイトコア・高空隙率マントルを模擬した試料を用いて実験を行った。コアにはガラス、マントルには石膏を用い、コア・マントルの質量比を系統的に変化させて、衝突速度2〜4km/sで衝突実験を行った。高速度カメラによるその場観察及び衝突破片の代表的値である反対点速度の計測を行い、実験後には試料の回収し破片の質量分布を計測した。その結果、この層構造試料の衝突破壊強度は、コア・マントル質量比(R)により大きく変化することがわかった。特にコア部分の破壊条件は、Rとエネルギー密度(Q)でQ=Q^*R^2のように表すことができた。ここでQ^*はガラスの衝突破壊強度である。この関係はコアとマントルへのエネルギー分配と密接に関係しており、コアへのエネルギー分配率がf=R^<2.6>と書き表せることから説明できる。氷微惑星に関しては,高空隙率マントルを模擬した雪の衝突破壊実験を系統的に行った.雪強度はその焼結度により大きく変化する.そこで空隙率40%の雪試料が焼結時間と伴に引っ張り強度が変化する様子を調べた.そして引っ張り強度(σ)が時間(t)と伴にσ〜t^<0.2>に従って増加することを明らかにした.この引っ張り強度は焼結度を表す良い指標であると考えられ,衝突破壊強度とほぼ比例関係にあることが分かった.また,コア部分の氷・シリカ圧密試料の作成方法を確立するため,氷・シリカ混合物の圧密実験を行った.空隙率40%以上の粉末混合物を温度-10℃〜-70℃で圧密して圧力と密度の関係を調べた.その結果,シリカの体積含有率が30%を超えると30MPaかけても10%以上の空隙が残ることが分かった.来年度はこの結果を整理した実験式を用いて衝突実験に必要なコア試料を作成する.
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