研究課題
本研究は国土地理院のGPS1秒データを用いて電離層内の擾乱を高時間・空間解像度をもつトモグラフィーを実行し、これまで時間解像度がなかった周期数秒から数十秒の現象をはじめて捉えることを目的としている。この目的に基づき日本付近で起きたマグニチュード7クラスの浅発地震前後の国土地理院のGPSの伝播遅延データの収集を行った。現在2003年からの7個の地震についてデータの収集を終えている。このうち2003年十勝沖地震について、GPS伝播遅延データから電離層内の全電子数変化(TEC)への変換を行った。また電離層トモフラフィー手法の開発を行い、コードのベクトル化、並列化を行った。開発したトモグラフィーは電離層擾乱が空間方向と時間方向にそれぞれに連続であるという先駆的情報を与えることにより解を安定に求めるものである。このコードで前述のTECデータを使ってトモグラフィーを実行し、電離層の擾乱伝搬について予備的な結果を得た。この結果によると電離層の擾乱の伝搬に速度の違うフェーズがあり、分散しているように見える。この観測結果についてはsynthetic testテストを行い確かめる必要がある。電離層擾乱は地震・津波など大気下端境界からの擾乱が上方に伝播した結果と考えられている。大気下端である地表や海面の任意の時間・空間変動から直上に発生する圧力擾乱を予測できるようになった。また、2004年スマトラ巨大地震発生後に観測された遠地での圧力変動は、地震・測地データを使った震源域の地殻変動から推定される変動量と調和的であることが判った。
すべて 2009 2008
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Journal of Fluid Mechanics 627
ページ: 361-377
Infrasound monitoring for atmospheric studies" Le-Pichon et al., eds (印刷中)
Journal of Geophysical Research 113
ページ: B12402, doi:10.102, 2008JB0057