研究概要 |
今年度は,昨年度に引き続き大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの激光XII号-HIPERレーザーを使用して平板および弾丸加速・衝突実験を行った(波長1054nm,パルス幅20ns,エネルギーは数百Jから数kJ;集光径は平板飛翔体の場合~500μmφ,弾丸飛翔体の場合~100-200μmφ).厚さ30ミクロンのタンタルシートおよび0.1-0.3mmのアルミニウムの球を用いた.タンタルシートは秒速10km以上,アルミニウム球はサイズに応じて15-60km/sまで加速され,輝石,硫酸塩岩,玄武岩,かんらん岩,石膏などへの衝突実験を行った.昨年度まではショット毎に結果がばらついていたが,今年度は非常に再現性の良い結果が得られた. また,衝突により発生する蒸気やメルトの量,クレーターサイズに直接関係している衝撃波の減衰率を計測するため,今年度は本科研費で昨年度購入した連続光レーザーをプローブ光として用いてVISAR光学系を構築した.精密な計測に必要な干渉縞のコントラストは非常に良好であるが,十分な時間分解能を得るためにストリークカメラの掃引レンジを高速にする場合には,光学系の光量が若干足りないようである. 来年度は,まず十分な光量が得られるように光学系を改良する.その上で,上記で述べたレーザーによる飛翔体加速システムと組み合わせ,平板飛翔体を岩石に衝突させる実験に適用し,岩石の裏面が衝撃波により飛び出す速度を計測する.ターゲットの厚さを変えた実験から衝撃波減衰を計測する予定である.
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