研究課題
1980-2004年の過去再現アンサンブル実験(5メンバー)をQBOの位相と惑星波の伝搬(EP-flux)や北半球の極渦の強度の関係を調べた。冬季の3か月間において、熱帯下部成層圏では西風偏差(QBOの定義域)のとき、成層圏中高緯度には西風が正偏差の領域があり(極夜ジェットが強い)、Holton-Tanの関係があることを示している。このとき、40N,100hPa付近の領域で、QBO西風の方がEP-fluxは下向き、極向きになっており、QBOに由来する下部成層圏の東西風が惑星波の伝搬をコントロールしているわけではないことを示している。同様のことはERA-40等の客観解析データでも解析された。2009年1月に北極域で大規模な成層圏突然昇温が起こり、同時に熱帯成層圏で気温の下降が起こった。また、熱帯対流圏界面層(TTL)の下部(100-150hPa)においても気温の低下が観測された。この熱帯域の気温低下について、再解析データを用いて、TEM方程式系による熱力学的および力学的解析を行って、気温低下の原因を調べた。熱帯成層圏の70hPaより上層では、熱帯成層圏で上昇流が強まったことによる鉛直移流で説明でき、鉛直流はオメガ方程式の力学的解析から北半球成層圏における波強制によるものである。一方、TTLの下部の気温低下は主に上昇流により引き起こされ、副次的に鉛直渦熱フラックスの収束(w'T'の収束)も作用していることがわかった。この上昇流は成層圏の波強制によるものではなく、北半球亜熱帯対流圏上部~TTLの領域の波強制によるものである。さらに、この波は北半球高緯度、アラスカ付近に源をもち、アラスカの波は成層圏へと伝播して突然昇温を起こしたものである。つまり、波の源はほぼ同じ領域であり、そこから成層圏と赤道方向へ伝播して、それぞれ低緯度で上昇流を引き起こし、気温低下をもたらした。
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