研究課題
ホイッスラーモード波の中でも周波数が大幅に変動するコーラス放射が放射線帯を含む内部磁気圏において頻繁に発生しており、放射線帯の相対論的電子に加速において重要な役割を果たしていることが、観測的にもまた理論・シミュレーションからも明らかになってきた。磁気嵐の発生時に、大きな磁場擾乱のために放射線帯外帯の電子は一度は消失するが、その後数日かけて次第に回復し、ふたたび強い相対論的電子フラックスを持つ放射線帯が形成されることがわかってきた、この時同時に、強いホイッスラーモード・コーラス放射が頻繁に発生していることを、「あけぼの」衛星観測データを解析することから検証した。これによりコーラス放射が相対論的電子加速において本質的な役割を果たしていることが推察される。一方、コーラス放射と共鳴するテスト粒子シミュレーションに基づいて、放射線帯の電子フラックスの長時間にわたる変動を評価する手法を開発した。コーラス放射は大幅な周波数変動を伴いつつも位相が滑らかに変化する特異な波である。この発生メカニズムについて理論的考察を行い、コーラス放射の発生機構を解明した。この理論はホイッスラー波と共鳴する粒子の厳密な非線形軌道の解析に基づくものであり、従来の線形理論に基づく波動成長機構とは全く異なる非線形機構に基づく新しい非線形波動成長理論である。この理論から結論される周波数変動とコーラス波の振幅との関係を、コーラスの発生過程を再現した電子ハイブリッドコードおよび電磁粒子コードによる2種類のシミュレーションにおいて検証することに成功した。さらに、これらのコードに新しい並列化アルゴリズムの実装を行った。
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