研究課題
放射線帯のコーラス放射を人工的にトリガーするシミュレーション実験を行い、コーラス放射の飽和過程および電子加速過程について明らかにすることができた。また、コーラス放射の生成機構についても、デイビッド・ナン客員教授と共同して解析を行い、これまでの理論に加えて、さらに新しい知見を得ることができた。コーラス放射の初期における共鳴電流の役割について、ブラゾフ・ハイブリッドコードによるシミュレーションにヒントを得て理論研究を進めた。その結果、波動の磁界成分に平行な共鳴電流がホイッスラーモード波の線形分散関係を実質的に変化させて、そのためにコーラス放射初期の周波数変動が生まれることが明らかになった。この解析により、非線形成長率が最大となる周波数変動を生む最適な振幅値を理論的に導出し、その仮定が正しいことをクラスター衛星による最近の観測、電子ハイブリッドコードによるシミュレーションおよび電磁粒子コードによるシミュレーションにおいても検証することができた。特に電子ハイブリッドコードのシミュレーションにおいて高エネルギー電子の密度を変化させることによりコーラス放射の振幅を変化させて、昨年度までの理論研究で明らかにしていた波動の振幅と周波数の関係を確認し、コーラス放射の空間分布に関する理論値についても検証することができた。一方、昨年度行った低周波イオンモードの電磁イオンサイクロトロン波のトリガード放射について、さらに理解を深めるためにハイブリッドコードによるシミュレーションを行い、トリガード放射を再現することに成功した。これにより理論や観測では十分に理解できていなかった非線形成長の飽和過程について詳細に解析し、イオン加速により波動が減衰する過程が関与していることを確認することができた。これらの新しい知見は既に3編の学術論文として投稿し、高い評価を得て既にアクセプトされて印刷中である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (23件)
電子情報通信学会論文誌
巻: J94-B(7)(印刷中)
Journal of Geophysical Research
巻: (印刷中) ページ: doi:10.1029/2010JA016280
巻: (印刷中) ページ: doi:10.1029/2010JA016351
巻: (印刷中) ページ: doi:10.1029/2011JA016496
Geophys.Res Lett.
巻: 37(L12106) ページ: doi:10.1029/2010GL043948
Space Science Reviews
巻: 154(1-4) ページ: 145-192
巻: 37(L19204) ページ: doi:10.1029/2010GL044529
Polar Science
巻: 4(3) ページ: 431-441
Earth, Planets and Space
巻: 63(1) ページ: 47-56
JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCH
巻: 115, A12246 ページ: doi:10.1029/2010JA015860