研究概要 |
本研究の目的は,三重県松阪市飯高町赤桶に掘削された中央構造線(MTL)を貫くボーリングコアを主な対象として,(1)MTLの断層帯内部構造の正確な把握,(2)三波川変成岩の上昇を含めたMTLの履歴,(3)断層深部の物性と歪の集中や内陸大地震発生との関わりの解明にある.このために,20年度は,以下の研究を実施した. (1) 各深度の構成岩石と断層帯の内部構造:柱状図を作成するとともに,MTL近傍のコアについて検層結果と照らし合わせて定方位化するとともに,各深度においてX線回折法により断層活動による変質鉱物を明らかにした.また,一部試料の研磨片作成,薄片作成・薄片観察を実施した.これにより,断層の深部と浅部の変形の重複関係が明らかになりつつある.この中でかつての地震活動を示すシュードタキライトも見つかった.さらに,脆弱部においては非破壊で内部構造を把握できるX線CTスキャンの画像取り込みを開始した. (2) 領家帯側のマイロナイトの古応力:薄片観察により,応力推定に使える鉱物の検討を行ない,燐灰石が候補となった. (3) 流体包有物の分布様式:薄片で流体包有物の観察を行なうとともに,名古屋大学で高温ステージを導入した (4) 実験室での弾性波速度・電気伝導度測定:内熱炉のセットアップを行った.
|