本研究の目的は、これまで全く注目されてこなかった「岩石の力学的不均質性」について、超微少硬度計を駆使して定量化することである。本年度は外部振動による測定誤差を抑えるためにアクティブ微少振動制御システムを導入し、その性能を確認した。 従来の実験では、圧子の侵入深さの測定値が数10ナノメートルの振幅で不規則に揺れる現象がしばしば起こった。この原因は超微少硬度計を設置している床が外部からの振動が原因で揺れていることにあると考えられる。そこでアクティブ微少振動制御システムを導入し、超微少硬度計の振動を出来る限り軽減することにした。アクティブ微少振動制御システムを導入してからは、今のところ大きく測定値が振動するようなことは起こっていない。 本年度は特に石英の点接触変形部をラマン分光学的に観察し、その残留応力の計測を試みた。これまでの研究で三角錐圧子によって形成した圧痕周辺で点接触変形後に局所的にではあるが2ギガパスカルを超えるほどの残留圧力が検出されていた。本研究では、点接触変形中にラマン分光学的計測を行えるように工夫を凝らして、新たに球状圧子による点接触変形中の石英の圧力について予察的に検討した。そして、それほど大きな圧力は生じていないことがわかった。まだどの程度の大きさなのか詳細にはわかっていないが、おそらく1ギガパスカルは超えない程度であろう。
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