研究課題
本研究の目的は、これまで全く注目されてこなかった「岩石の力学的不均質性」について、超微小硬度計を駆使して定量化することである。なお、昨年度に購入し設置したアクラィブ微小振動制御システムは問題なく作動している。本年度は、複数のダイヤモンド圧子を使用し、点接触変形実験を行った。使用した圧子は(1)三角錐45度圧子、(2)三角錐60度圧子、(3)三角錐68度圧子、(4)三角錐80度圧子、(5)ビッカース(四角錐)圧子、(6)ヌープ(平行四辺形錐)圧子の6種類である。試料はすべて石英単結晶であり、圧痕はc軸に垂直な面に作った。また、荷重は10~100ミリニュートンである。データは100回(一部60回程度)の実験の平均値である。その結果、三角錐80度圧子以外の圧子の場合に系統的な結果が得られた。すなわち、圧痕深さの対数を横軸に、その圧痕を作るのに要したエネルギー(ループエネルギー)を縦軸に取ったグラフ上に各圧子・各荷重のデータをプロットしたところ、各圧子ごとに直線上に並んでいること、別の圧子では別の直線上に並んでいること、直線の傾きはどれもほぼ同様で、2.5~2.7であることがわかった。三角錐80度圧子のデータは非常に不安定で、系統的にはならなかった。石英試料で、c軸に垂直ではない面(まだEBSD方位計測を行っていないので、現段階ではその指数は不明)を三角錐68度圧子を用いて予察的に実験を行ったところ、c軸に垂直な面とほとんど同様のデータが得られた。まだ予察の段階なので結論的に言うことは避けたいが、このことは、圧痕データでは方位依存性が無い、ということを意味している可能性がある。この点を明らかにするためにさらに検討する。
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Journal of Structural Geology 32
ページ: 136-150