研究課題
爬虫類の卵殻の結晶形を確認するため、ラマン分光法により結晶形を特定した。対象としたのは、カメ目については6上科中4上科にわたる4種、有鱗目については2亜目両方にわたる2種、ワニ目については3科全てにわたる3種、鳥綱については2下綱両方にわたる3種である。その結果、カメ4種の卵殻は全てアラゴナイト、有鱗目、ワニ目、鳥綱の卵殻は全てカルサイトであることが確認された。卵を体内に持っているスッポン(Pelodiscus sinennsis)のメスを解剖して、卵管内液を抽出し、そのイオン組成を測定した。また、ニワトリ卵の卵殻はカルサイトでできているので、スッポンと比較するため、ニワトリについても同様に卵管内液を抽出し、イオン濃度を測定した。Mg^<2+>/Ca^<2+>の値はニワトリでは0.51-0.56であるのに対し、スッポンでは0.78-1.17と高かった。Mgイオンが溶液中にあるとアラゴナイトが生成しやすいことが知られているので、スッポンの卵殻とニワトリの卵殻で結晶形が違うのは、卵管内液のイオン組成が異なることが原因である可能性がある。現在この仮説をIn vitoの実験で検討中である。一方、スッポンの卵殻内タンパク質であるペロバテリンの機能解析のための基礎研究として、ペロバテリン遺伝子の塩基配列の決定を試みている。ペロバテリンは卵管から分泌されている可能性が高いため、スッポンの卵管組織からトータルRNAを抽出し、それを鋳型にしてcDNAを合成した。PCR法によってペロバテリン遺伝子を増幅するため、ペロバテリンのアミノ酸配列をもとにセンスプライマーを2種、アンチセンスプライマーを1種作成した。これらのプライマーを使用してPCR法を行った。増幅されたPCR産物をTベクターに組み込み、大腸菌によってクローニングしたうえで、PCR産物の塩基配列決定を試みている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Development, Genes and Evolution
巻: 印刷中(掲載確定) ページ: 掲載確定
遺伝
巻: 65 ページ: 1-4