研究課題/領域番号 |
20340143
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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研究分担者 |
小暮 敏博 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50282728)
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80251411)
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キーワード | 貝類 / 微細成長縞 / 生物-環境相互作用 / 生物地球化学 / 高時間精度復元 / 完新世 / 気候変動 / 生活史 |
研究概要 |
1.成長縞編年学および生物地球化学的研究成果(棚部) 東京湾西部に位置する横浜市野島海岸の潮間帯に生息する二枚貝ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis)について、多数のマーキング個体を用いた長期成長解析と月別採集個体の生殖巣の発達様式に基づき、生活史の特性を検討した。その結果、1)本種は着底後1年以内に性生成熟に達し、寿命は3年程度と短いこと、2)冬の低水温期に放卵・放精を行い、殻成長は春から夏に著しいこと、3)微細成長縞の形成は年間を通じて行われ、明瞭な成長障害輪は形成されないこと、4)微細成長縞2セットは朔望日毎に形成されること、などが明らかになった。この成果は、Plankton and Benthos Researchに公表した。 また、千葉県市原市の養老川河口干潟から採集されたアラゴナイト殻体を持つカガミガイ(Phacosoma japonicum)の貝殻外層中の微量元素組成を朔望日輪に沿ってLA-ICP質量分析計を用いて連続分析し、微量元素組成の日変動パターンを市原市沖の海洋モニタリングポストで自動測定された海洋環境の経時的データ、および定期的に採取された海水の倹素組成変動データと比較した。その結果、Ba/Ca比は海水の塩濃度が低下する日に増加する傾向が認められ、海水の塩濃度指標として利用できることが示唆された.この成果は、国際誌Palaeogeograph, Palaeoclimatology, Palaeoecologyに投稿した。 2.貝殻微細構造に関する研究成果(小暮) 軟体動物二枚貝類および腹足類の真珠層の形成過程を透過型電子顕微鏡、EBSD構造解析等で詳細に観察し、結晶核の発生や結晶結晶成長が有機質膜中の小孔を経由して行われること明らかにした。これらの結果はいくつかの国際誌に公表した。
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