研究課題
本研究では、2007年に兵庫県丹波市で発掘された日本産としては例外的に保存の良い竜脚類骨格化石の(1)分類(2)年代(3)古環境および古地理的背景(4)尾椎の機能解剖学の解明を目指す。上記目的のうち(2)および(3)の項目に関しては放射年代測定に使える凝灰岩層と恐竜化石含有層との層序関係の特定(小林・松原担当)、堆積学構造のデータ採取および採取資料の同位体組成の分析(田中担当)、礫岩の礫種からの後背地の推定(小林担当)を行った。放射年代は予想より若い年代が出ており、再検討が必要である。同様に堆積物の化学分析データは予想より寒冷な気候を指示し、同じく再検討すべき結果となった。礫種からの後背地の推定では堆積当時の地体構造を示唆する結果が得られ論文化した。篠山層群の貝化石(松原担当)および小型爬虫類化石(池田分担)に関しては篠山市内で良好な新産地が発見され産出化石の初歩的な分析を行った。上記目的のうち(1)および(4)の項目に関しては、国内外の博物館に収蔵されている竜脚類化石との比較が必要である(三枝・池田担当)。従来の研究で行われている計測、写真撮影に加えて、骨格化石の3Dデータをレンタルのハンディ3Dスキャナにより国内外の博物館で収集する予定であったが、海外への持ち出し禁止という制約を貸し手からっけられた。しかし、国内の博物館ではレンタルの機械をつかい3Dデータを収集でき、ハンディ3Dスキャナの有用性を実証できた。また収集した3Dデータの合成・整形が問題となったが、これは適切な3Dデータ処理ソフトを導入して解決した。3Dデータはまだ試験的な段階なので、従来型のデータを用いて予察的な丹波竜脚類の系統解析を行いその結果を古生物学会(仙台)および古脊椎動物学会(米国、クリーブランド)で報告した。
すべて 2009 2008
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化石研究会会誌 41
ページ: 2-12
地質学雑誌 114
ページ: 577-586