研究概要 |
恐竜類の研究(三枝担当):山南竜脚類発掘地点産獣脚類には基盤的なティラノサウルス上科の前顎歯が含まれること,同発掘地点の鳥脚類の脱落歯はイグアノドン上科では比較的派生したものであること,篠山市内宮田の露頭より産出した小型脊椎動物化石には基盤的新角竜類の頭蓋破片が含まれることが判明した.こうしたことから篠山層群下部の年代は従来のフィッショントラック年代よりも若いAptian Albianである可能性が高まった.竜脚類に関して,中国(北京、石家庄、鄭州、蘭州、杭州)、タイ(カラシン)で中国産ティタノサウルス形類の比較標本を検討し,山南町産の竜脚類は新属新種とするに十分であることが確かめられた.非接触型3次元測定器を購入し,竜脚類含有岩塊のクリーニング過程の記録に使った. 小型両生爬虫類化石の研究(池田担当):有鱗類の下顎はScincomorphaに属し,4つの分類群に分けられ,そのうちの一つはこれまで中国山東省下部白亜系からのみ知られていたPachygenys属の新種であることが判明した.さらに,山南竜脚類発掘地点の泥岩産出の小型脊椎動物の大部分は無尾類であることが分かった. 堆積学的研究(田中担当):丹波市山南町の竜脚類発掘地点の泥岩について粘土鉱物の解析をすすめ,泥層の特徴についてある一定の特徴を明らかにした.雲母鉱物(雲母粘土)や緑泥石が多く含まれセピオライトも検出された.小型脊椎動物群を含む篠山市内露頭(新角竜類産出地点)についても観察を実施した.基質支持で不淘汰な礫岩層で特徴づけられる岩相は,ある一定の流れのエネルギー下にあったことを物語っており,砂岩(細粒相)と泥岩の互層はそれ以外の環境下での形成である礫岩,砂岩,泥岩ならびにそれらの互層で特徴づけられるものであることが分かった.
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