研究概要 |
恐竜類の研究(三枝担当):丹波市山南町産竜脚類(以下丹波竜脚類)は,ティタノサウルス形類の新属新種であることが主として尾椎の形態より明らかとなった。この比較と並行して,丹波竜脚類との比較およびその骨格復元のために,モンゴルにおいてOpisthocoelicaudiaの骨格の3Dデジタルデータを採取,バーチャルに骨格の復元を行い,骨格復元の問題点を見つけた。また,丹波竜脚類を含む国内産竜脚類の歯を国外の竜脚類の歯と比べた。その結果,日本産の竜脚類はすべてティタノサウルス形類であり,時代につれより進歩的なものが現れること,アジアにおいて竜脚類の多様性が白亜紀を通じて保たれたという説を支持することが明らかとなった。丹波市山南町の発掘現場からは曲竜類およびテリジノサウルス類(獣脚類)の歯が産出し,篠山層群の恐竜類は7つの分類群にわたることが明らかとなった。小型両生爬虫類化石の研究(池田担当):山南竜脚類発掘地点の泥岩産出の無尾類は保存良好な全身骨格が発見され系統解析が可能となった。その結果,篠山層群産の無尾類は基盤的なArchaeobatrachiaの新属新種であることが判明した。篠山市宮田産哺乳類化石の研究(楠橋担当):宮田産哺乳類化石を国内外の白亜紀哺乳類の下顎・歯と比較した結果,新属新種の原始的な真獣類であることが分かった。堆積学的研究(田中担当):篠山市官田の露頭ついて補足的な観察を実施した。そこ結果,礫岩層は土石流的な流れの下で堆積,砂岩堆積物は氾濫原上の沼沢環境へCrevasse splayとして流れ込んで来たもの,泥岩層は氾濫原の堆積物(floodplain)であることが明らかとなった。今年度の研究では新たに発見される分類群が増え篠山層群には多様な脊椎動物化石が含まれることが明らかとなった。それぞれが属する分類群において,系統解析上重要なものを含んでおり,篠山層群の脊椎動物相はアジアにおける陸上脊椎動物の進化を考える上で重要であることが確認された。
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