研究課題
本研究の目的は、下部地殻中の流体の挙動や起源を総合的に理解するための新たな分析・解析法の開発と、それらの天然の岩石への応用である。4年間の研究期間の3年目である本年度は、基盤となる5つの研究テーマのうち、以下の2つについて行った。1.流体包有物の融点および均質化温度の測定:平成20年度に構築した微小流体包有物分析システムにより、飛騨地域および南インドPalghat-Cauvery剪断帯地域、南極ナピア岩体地域の変成岩に含まれる3ミクロン程度の微小流体包有物の加熱冷却分析を行った。特に鉱物ごとのCO2密度の変化を追ってみたところ、ざくろ石中の初生包有物が高密度であるのに対し、石英中の包有物は二次的な包有物が多く、そのほとんどは変成作用末期にトラップされた低密度流体であった。この密度の違いから温度圧力履歴の違いを議論した。2.流体包有物の同位体分析と流体の起源の推定:南インドPalghat-Cauvery剪断帯地域のざくろ石に含まれる流体包有物を、カナダのBritish Columbia大学の研究者と共同でCO2の炭素同位体分析を行った。その結果、流体包有物中の炭素はマントル起源の炭素と炭酸塩起源の炭素の中間の値をもつことが分かった。したがって、流体の少なくとも一部は外部から浸透してきたことがわかった。この結果については現在考察中である。以上の結果について平成22年度に国内外の学会にて8件の発表を行い、査読雑誌受理論文が4件ある。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Gondwana Research
Journal of Asian Earth Sciences
Geological Society of America, Memoir
巻: 207 ページ: 107-124
http://www.geol.tsukuba.ac.jp/^gansekihp/index.html