研究課題
本年度は前年度までに確立した極微小領域ジルコン年代測定法を、三波川変成岩の最も変性グレードの高いエクロジャイトの年代測定に適用した。その結果119.3+/-1.2Maという結果を、前年度までに開発を進めてきた高い空間分解能解析にようて得ることが出来た。これはジルコンの成長が累進変成課程において、流体の関与によって形成されたことを示唆しており、極めて重要な成果であった。研究成果は現在論文として取りまとめる準備を進めている。なお本研究の実施にあたり、極微小領域年代測定においては試料表面の平滑性が極めて重要であることが見いだされた。すなわち、ジルコンのリム(相対的に若い年代を示す)部を高空間解像度で年代決定するためには、琢磨試料の縁たれを極小にする必要がある。そこで2010年度に別途、振動試料琢磨装置を導入しより厳密な試料作成方法を確立することとした。三波川変成岩帯のジルコン年代測定に加え、ヒマラヤ地域の超高圧変成岩帯に応用するべく、先行研究を開始した。試料に関しては鹿児島大学のRehman博士および山本博士に協力頂き、ジルコンの分離と薄片中のジルコンの記載を進めている。2010年度に本格的な年代測定を実施し、ヒマラヤ地域の広域変成史にジルコン年代から制約を与えることができると期待している。ジルコンの標準試料作成に関しては、湿式分析による年代測定技術の確認とレーザーを用いたICP-MSによる分析を試みている。この技術の確立も2010年度に向けて継続する予定である。
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Lithos 112
ページ: 321-341
J. Geol. Soc. London 116
ページ: 1013-1032
http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/