研究課題
本年度は、研究計画の最終年度にあたるため平成20年度および21年度に重点的に開発を行った。とりわけ鹿児島大学のRehman博士によってヒマラヤ・コヒースタン地域にて採取されたエクロジャイト中に含まれる微小ジルコンの年代測定を始めて実施した。源岩中のジルコニウム含有量が極めて薄く、変成過程において結晶化したジルコンのサイズは平均で50ミクロン程度と極めて小さく、かつ低いウラン含有量と若い形成年代による極微量放射壞変鉛の同位体測定を実施できたことは大きな課題であった。結果として~45Maという形成年代を明らかにすることができ、ヒマラヤ・コヒースタン地域における広域変成帯の形成メカニズムに対して明確な時間的制約を与えることができた。本研究成果は現在論文としてまとめていると同時に、その一部を平成22年6月に台湾で行われたAGU Western Pacific Geophysics Meetingにおいて招待講演として公表している。また開発した極微小ジルコン年代測定法を西南日本に広く分布する花崗岩の形成年代を決定するために適用し、現在12試料から各~20粒のジルコンを分離し系統的に測定を実施した。その結果領家帯・山陽帯・山陰帯の花崗岩形成活動時期の変化が明らかになりつつあり、系統的な編年が可能となっている。これに関しては今後も研究を継続する。昨年度より取り組んでいたレーザーを用いたICP-MSによるジルコン年代測定は、研究分担者である辻森樹博士によって順調に開発が進み、実用化された。今後、多量のジルコンを自動的に年代記載する目的に活用し、二次イオン質量分析計による精密・極微小領域ジルコン年代測定前の年代概略を知る手法として活用可能である。
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http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/