研究概要 |
1. 東南極ナピア岩体の超高温グラニュライトや石英を使ってザクロ石-斜方輝石-石英の高温高圧相関係とTiの分配を8~15kbarの圧力条件で,800℃~1150℃の温度範囲で調べた.Caに乏しいザクロ石へのTi固溶反応がMg_3Al_2Si_3O_<12>(Grt)+TiO_2(Rt)=Mg_3Al_2Ti_3O_<12>(Grt)+SiO_2(Qtz)で記述されることを明らかにし,温度依存性は大きいが,圧力依存性は小さいことを明らかにした. 2. アルミノケイ酸塩(Al_2SiO_5)に固溶するFeの量をヘマタイトと共存する系およびマグネタイイトと共存する系について,8~15kbarの圧力範囲で,800℃~1150℃の温度範囲で調べた.珪線石中のFe^<3+>固容量が温度や圧力や酸素分圧とともに増加することを見出した. 3. ナピア岩体リーセルラルセン山に産する変鉄岩の相平衡実験を,8~15kbarの圧力範囲で,800℃~1150℃の温度範囲で鉱物組み合わせの変化や共存する鉱物間の元素分配を調べた.7kbarと11kbarの間の圧力でイルメナイト+珪線石+石英からザクロ石+ルチルへと安定相が変化することを見出した.このことと,この岩石の記載データとから,この岩石が11kbarの圧力条件のもとで等圧的に780℃まで冷却したことを明らかにした. 4. 東南極ルンドボークスヘッタやナピア岩体リーセルラルセン山やセールロンダーネ山地のグラニュライトの岩石記載や精密鉱物化学分析を実施し,この地域のテクトニクスや変成履歴を解析した. 成果の一部はGranulites & Granulites 2009,日本地球惑星科学連合2009年大会,日本地質学会第116年学術大会,第29回極域地学シンポジウムで発表した.
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