本研究では、超高圧発生を可能にするダイヤモンド-SiC複合体アンビル作成の技術開発と、粘性測定のための高温高圧実験技術の開発を進めており、本年度はダイヤモンド-SiC複合体アンビルの高品質化と、高温高圧実験セルの開発を中心に行った。 1.ダイヤモンド-SiC複合体アンヒルの高品質化 これまで行ってきた技術開発により、一辺14mm角立方体サイズのダイヤモンド-SiC複合体アンビルについての作成法は確立できたが、高圧発生試験の結果、個体によってアンビル強度に差があることがわかった。製造過程の見直しと分析を行ったところ、原料となるダイヤモンド、Si、SiC粉末に不純物が混入していることが判明し、これを除去する技術を開発することによって安定した強度のアンビル作成が可能になった。また昨年度、一辺26mm角立方体サイズの大型ダイヤモンド-SiC複合体アンビルの作成に成功したが、合成の際の酸素混入によってアンビル加工時に割れてしまう問題があった。これについては合成の際の真空度の向上、脱酸素剤の添加、アンビル研磨加工法の改良などを行うことで、歩留りに向上が見られている。 2.高温高圧実験セルの開発 本研究の目標である1500℃以上の高温条件では、実験圧力を計測するためのマーカー試料(NaCl、MgO)の結晶粒の成長によって、通常利用される1次元X線回折測定ではマーカー試料の回折線を観測できず圧力値を計測することができない。そこで単色X線とイメージングプレートを組み合わせた2次元X線回折測定を採用し、さらにマーカー試料の粒成長が起こっても回折線が検出可能な実験セルの開発を行った。試料にNaClとMgOを用いて実験を行った結果、12GPa、1500℃以上でNaClは融解したが、MgOの回折線は観測することができ、1750℃の高温まで検出することに成功した。
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