超高圧発生を可能にするダイヤモンド-SiC複合体アンビル、1700℃以上の高温発生を可能にする高圧セル、および落下球実験用のアルミナコーティングマーカー球作成の技術開発を行い、鉄合金融体の粘性実験を行った。 1. アンビル原料となるダイヤモンド、Si、SiCの純度、粒径や、反応容器中の酸素濃度、真空度などの条件を変えて最適化し、より高圧高温下で安定なダイヤモンド-SiC複合体アンビルを作成した。高圧高温発生試験を行った結果、14mm角立方体サイズにおいて22GPa、1700℃以上の高圧高温条件においても割れないアンビル作成が可能になった。 2. SPring-8の放射光とマルチアンビル型高圧装置を使って、1700℃を超える超高温下においても実験可能な高圧セルを開発した。ヒーター材料にランタンクロマイト、およびTiB2を用いた加熱方式の開発と、ヒーターを安定に加熱するための電源制御ソフトウエアを改良することにより、どちらのヒーター材料においても最大2000℃までの超高温実験が可能になった。 3. 本研究で導入したセラミックス成膜装置を使って、落下球実験用のアルミナコーティングマーカー球を作成する技術を開発した。成膜装置の条件(真空度、印加電力、アルゴンガス流量)を最適化することにより、3種類の金属球体(Ir、Pt、Re)表面にほぼ均等の厚みでアルミナをコーティングすることが可能になった。しかし、純鉄融体の実験においては1000~1300℃付近でいずれの金属種のマーカー球も溶解してしまう課題が明らかになった。鉄-硫黄系融体においては1750℃までの粘性実験を行い、得られた活性化エネルギー、活性化体積を用いて地球外核の粘性率について評価した。
|