研究課題
フェムト秒レーザーを用いることにより、金属試料の化学組成・同位体組成分析の信頼性は飛躍的に向上する。本研究では、従来のチタンサファイヤ・フェムト秒レーザー(Ti:Sレーザー)を短波長化することにより、同位体分析のさらなる高精度化と分析空間分解能の向上を目指す。本年度は、Ti:Sレーザー光学系に3倍高調波変換器(紫外線化装置)を導入するとともに、より微小な試料に対する観察性能を改善する目的で、倍率可変光学系を独自に製作し、対物レンスの倍率を自動で変化(5倍および50倍)できるようにした。これにより、試料中の微小な銅鉱物の正確な観察とより位置精度の高いレーザー照射が可能となった。さらに本年度は、試料形成過程の議論に不可欠な超微細鉱物試料(10ミクロン以下)に対する分析性能の向上を目指して、質量分析装置の高感度化と液中レーザーアブレーション法の実用化を図った。液中レーザーアブレーション方式では、複数の微細銅鉱物試料をレーザー照射し、アブレーションされた銅を液中に捕獲・積分することが可能となる。これにより微小試料一粒子では正確な同位体分析が難しい場合でも、複数の試料を積分することで正確な銅同位体情報を引き出すことが可能となった。本研究により実用化した局所・高精度同位体分析装置ならびに、超微小鉱物試料中の銅同位体分析を行う際に有力となる液中レーザーアプレーション法は、安定同位体地球化学を展開する上で最も信頼生が高く、また汎用性の高い次世代局所同位体分析法として広く活用されるものと期待できる。
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