研究概要 |
交付申請書に記載したように、1)SO_2の酸素同位体を置換したアイソトポマーについて、180~330nmの波長領域において、0.05nm毎(0.1nm幅)の分解能で紫外吸収スペクトル測定を行った。99.9%以上の同位体純度をもつ^<32>S,^<34>Sをそれぞれ^<16>O-99.7%,^<18>O-97.6%,^<18>O-52.0%のO_2を用いてSO_2に変換した。測定値から計算によって、S^<16>O_2,S^<16>O^<18>O,S^<18>O_2の吸収クロスセクションを見積もった。イオウ同位体置換アイソトポマーの場合と同様に、200nm付近において重い酸素の同位体置換アイソトポマーの吸収ピークが長波長側にシフトしていた。^<32>S^<16>O^<18>Oの極大吸収ピークは昨年度測定した^<36>S^<16>O_2のピークとほぼ一致していた。これは理論計算によって求められた同位体シフトと異なっており、紫外線反応が質量非依存同位体分別の起源ならば、硫酸塩などのδ^<36>Sに質量非依存同位体比が見られるとき、その酸素にも同位体分別異常が起こることを示す。2)西オーストラリアから採取された始生代ボーリングコア試料のうち、約32億年前と27億年前の黒色頁岩試料について、δ^<33>S,δ^<34>Sを測定した。その結果、27億年前の試料には過去に報告されたような質量非依存同位体分別が確認されたが、32億年前の試料には大きな質量非依存同位体分別は見られなかった。 これらの結果を第56回日本地球化学会年会(於:広島)とAmerican Geophysical Union 2009年Fall Meeting(於:サンフランシスコ)で発表して議論した。
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