研究概要 |
DARC (dc to ac radiation converter) と呼ばれる電磁波源を用いて,テラヘルツ電磁波の発生実験を行う。DARCは周期静電場中に光速で伝搬する電離面を走らせることにより, 電磁波が発生するものである。発生電磁波は,初期に面加した周期静電場のプロファイルを引き継ぐため,様々な電磁:波の位相制御が可能である。この原理を用いて周波数が時間的に変化した(チャープした)高出力テラヘルツ電磁波を発生し,プラズマの密度計測技術への展開を図ることを目的としている。 DARC本体の構造は,不等間隔に配置したコンデンサーアレーに正負交互に電圧を印加することにより,コンデンサーのギャップ間に空間的に波長が変化した静電場を励起する。励起する静電場の波の数は,実験的にチャープが確認できるように10サイクル程度は必要であろうとの考えに基づいている。 この電極構造をレーザーは電離面を形成しながら伝搬しなければならない。これまでは, 直径1cm程度のビーム径でYAGレーザを伝搬させていたが,チタンサファイアレーザーの場合,YAGレーザに比べてエネルギーが小さいため,ビーム径を絞らなければならない。単純にレンズを用いると,集光点付近では,レーザー強度は高くなり,プラズマを形成することができるが,長距離の伝搬は不可能である。これを克服するために,フォローファイバーを用いた.フォローファイバーは,直径300ミクロンの穴のあいたストロー状のガラス管で,この中をレーザーを伝搬させ,その上下に上記のコンデンサーを配置した。 光伝導アンテナを用いるサンプリ。ングシステムを用いて,テラヘルツ光の時間分解波形を観測した。これに加えて,シングルショット計測を行うためのパルス幅が30fs程度のレーザー光の発生にも行なった。これにより,水晶などによるチャープ光の発生が容易になると考えている。次年度は,この計測器を用いて,位相制御された高出力のチャープテラヘルツ光を観測する予定である。
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