研究概要 |
DARC(dc to ac radiation converter)と呼ばれる電磁波源を用い,テラヘルツ電磁波の発生実験を行った.DARCは周期静電場中に光速で伝搬する電離面を走らせることにより,電磁波が発生するものである.発生電磁波は,初期に印加した周期静電場のプロファイルを引き継ぐため,様々な電磁波の位相制御が可能である.この原理を用いて周波数が時間的に変化した(チャープした)高出力テラヘルツ電磁波を発生させ,プラズマの密度計測技術への展開を図ることを目的としてきた. DARCの構造体を10サイクル程度作ることを考えると,長さが10cm程度になる.この距離をレーザーは電離面を形成しながら伝搬しなければならない.これまでは,直径1cm程度のビーム径でYAGレーザーを伝搬させていたが,チタンサファイアレーザーのエネルギーが小さいため,ビーム径を絞らなければならない.単純にレンズを用いると,集光点付近では,レーザー強度は高くなり,プラズマを形成することができるが,長距離の伝搬は不可能である.これを克服するために,フォローファイバーを用いた.フォローファイバーは,直径300ミクロンの穴が開いたストロー状のガラス管であり,この中にレーザーを伝搬させ,その上下に上記のコンデンサーを配置した. 周波数可変性を調べるために種々の実験を行ったところ,その中心周波数は0.12~0.15THzであり,ほぼ一定となった.そこで,この現象を説明するモデルを構築した.励起用光源としての超短パルスレーザーが生成するプラズマの生成時間に依存することが明らかになった.レーザーの位相診断と位相制御も可能になり,テラヘルツ光の位相制御に取り組んだ.光源から数サイクルのテラヘルツ電磁波が観測され,理論的に予測される砲車周波数や帯域幅も一致した.
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