研究課題
本研究は磁界によるプラズマの制御をスパッタリング法に応用し、コーティング対象である円筒形棒(管)外壁に均一・高速かつ密着性良く機能性薄膜を形成する技術を開発する事を目的としている。具体的には、スパッタリング用のターゲットを筒状に加工し、それをコーティング対象の周りを覆うように設置する。反応容器外部にソレノイド型の外部コイルを設け、容器の長軸方向に磁界を発生させる。これによって細管内に発生する磁界を制御し、時間空間的に均一な薄膜を作製する。昨年度までに、2層までの実験はほぼ終了し、コーティングによる効果は実証されている。本年度は、特に三相磁界を用いたコーティングの詳細な実験と、交流や高周波(RF)放電を行ったときの実験を行いこれまでの結果と比較検討した。1、三相交流磁界を用いて様々な条件で成膜実験を行い、その均一度を調べた。その結果三相交流磁界の場合は、同じ条件で作製した単相次回の場合に比べて、50cmの円筒棒状基板の中央部分がやや厚く、端部分がやや薄い膜厚分布であり、その不均一度は最も良い条件で0.32であった。昨年よりは改善されたが、普通の交流磁界を用いた場合(0.22)よりも悪い数値となった。しかしながら、成膜速度は若干向上した。2、昨年度までは、直流放電を用いていたが、成膜速度が0.05nm/s以下であり目標値に一桁以上届かない。これを改善するために、本年度は放電形式をパルス放電やRF放電で行うことを試みた。結果、RF放電では成膜速度が一桁ほど向上したが、成膜できる条件(放電開始電圧や圧力など)が限られているため、さらに向上させるには工夫が必要であることがわかった。3、成膜した炭素棒の摩擦係数、摩耗量はコーティングの材料にかかわらず減少し、コーティング効果が明らかに現れることがわかった。TiO_2の薄膜の場合、親水性が20度近くにまで向上することがわかった。
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Proc.of International Symposium on Advances in Technology Education
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