ヘリカルプラズマにおける高速粒子とアルフベン固有モードの相互作用を計算する摂動論的シミュレーションコードを開発した。このシミュレーションコードでは、アルフベン固有モード空間分布はモード振幅に依存せず時間的に一定と仮定され、モード振幅と位相の時間発展および高速粒子分布時間発展が相互に整合性を保ちながら計算される。摂動論的シミュレーションの利点は高速粒子輸送時間スケールの長時間シミュレーションが可能なことである。HINTコードを用いて計算したLHD実験#47645のMHD平衡データおよびAE3Dコードによって計算された二つのアルフベン固有モードを用いて、アルフベン固有モードバーストのシミュレーションを行った。磁力線回転変換に対応する仮想的プラズマ電流に関する順進行方向と逆進行方向の中性粒子ビーム入射加熱パワーをそれぞれ2.5MWに設定し(合計5MW)、高エネルギー粒子減速時間を100ms、TAEの減衰率と角周波数の比を3%とした場合に、約3ms間隔でバーストが発生することを見出した。実験で観測されたバースト時間間隔は約9msである。シミュレーション結果のアルフベン固有モード振幅は、事前に行ったアルフベン固有モードによる高速粒子輸送解析と実験結果の比較から推定した振幅とほぼ同じであった。バースト時間間隔および高速粒子輸送などの実験結果をシミュレーションで詳細に再現し、高速粒子損失の物理機構を解明することが今後の課題である。
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