研究概要 |
水の磁気処理効果に対して,科学的観点から厳密に雰囲気と条件を制御して,磁束変化に伴う水の構造と物性の変化を検証した。昨年度購入した遠隔測定用ファイバーラマン装置によって水を磁気処理しながらラマンスペクトルをその場測定して,400~4000cm^<-1>の範囲の水由来のすべてのバンド(水素結合を含む)強度が増加するという前年度の結果をほぼ再現できた。磁気処理水の保存に関する基礎検討を行い,温度や時間などの条件を検討した。磁気記憶の時間を10倍以上にできる感触を得た。接触角の低下した磁気処理水は粘度の低下やラマンバンドの増加の他,めっき液に使用すると銅めっきの効率やめっき相の高品質化をもたらした。 1msのパルス磁場の繰り返し照射は,磁気処理と同じ効果を与えうることがわかった。このことから,磁束と水との相対運動が磁気処理効果には必要であることが再確認できた。この効果はパルス照射回数に依存し,数回で飽和する傾向がみられた。 水および電解質水溶液の凍結電位への静磁場効果を電位の他,X線回折や本年度購入のDSC装置を用いて検討した。凍結電位は磁気処理によっては変化しなかったが,磁場中凍結にともなう凍結電位は低下した。また,ラマンバンドの変化も観測されたが,相関性や再現性は今後さらに検討が必要である。
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