研究計画は以下の項目からなる。(1)配列制御分子線源の作製、(2)配向分子線法と赤外分光法の融合装置の作製、(3)配列分子線法と赤外分光法の融合装置の作製、(4)(1)(3)の装置を用いて、半導体表面での表面化学反応立体ダイナミクスを調べる。(5)(1)(3)の装置を用いて、金属表面での表面化学反応立体ダイナミクスを調べる。 (1)高密度配列分子線源の作製 分子の回転アライメント選択用の高分解能速度選別器を製作導入し既存の分子線装置に設置し調整する。高分解能速度選別により分子の回転運動の回転軸が表面に平行な車輪型か垂直なヘリコプター型か制御して分子ビームを発生することができる。また、ビーム調整後にシリコン表面の酸素分子による酸化反応について入射分子のアライメント効果を調べる。 (2)配向分子線法と赤外分光法の融合装置の作製 現有している超高真空対応型配向分子線装置に赤外吸収分光装置を融合し、配向分子ビーム照射中に表面化学反応により生じる生成物をリアルタイムで観察する。 (3)配列分子線法と赤外分光法の融合装置の作製 (1)で開発した大阪大学に設置する高密度配列分子線源と(1)の各種赤外吸収分光装置を融合して配列分子ビーム照射中に表面化学反応により生じる生成物をリアルタイムで観察する。 (4)(1)~(3)の装置を用いて、半導体表面での表面化学反応立体ダイナミクスを調べる 方向性のあるダングリングボンドをもつシリコン表面に配向・配列分子線を照射し、分子軌道の方向を制御した表面化学反応により生じる生成物をリアルタイムで観察する。 (5)(1)~(3)の装置を用いて、金属表面での表面化学反応立体ダイナミクスを調べる (4)と同様の研究を白金(Pt)やイリジウム(Ir)のような化学反応性に富む表面を用いて行い、金属表面での物質合成の指針を得たい。また、Pt 表面上では、NOとCOが反応してCO2を生成する触媒反応がよく知られている。この反応は、NO やCO をより安全なガスに変換するプロセスとして重要である。このような触媒反応についても、飛来分子の配向・配列効果を調べ、それを基にして触媒能を改善する表面物質合成を目指したい。
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