ラジカル燃焼反応の多次元立体ダイナミクス研究を実現するため、NO_2の光解離により高強度な酸素原子(分子)線の発生を試みるとともに、ビーム特性をMPI及び四重極質量分析計を用いて測定し六極不均一磁場による集束性に適したビーム条件を決定した。このビーム特性評価に基づき、できるだけ多くの量子状態の選別を高強度かっ高分解能で行うための六極不均一磁場を、有限要素法を用いたラジカルの軌跡シミュレーションに基づき設計した。 加えて、六極不均一電場と六極不均一磁場の併用による配向電場・磁場による多次元立体ダイナミクス研究のための自動計測システムを開発した。多次元立体ダイナミクス研究には多数の配向状態の組み合わせを短時間で変化させながらの長時間積算が必要とされる。本システムの完成により多数の配向状態の組み合わせを変化させながらの完全自動測定が可能となり、長時間積算による大幅なS/N比の改善が期待される。この自動計測システムの有効性を確認するため配向準安定キセノンとハロゲン化メタンの反応によるエキシマー生成過程に適用することで、配向原子+配向分子の反応における多次元立体効果の高精度な測定を試みた。これにより反応断面積・反応分岐が、原子配向と分子配向の組み合わせに顕著に依存することを始めて見出した。
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