研究課題
21年度は、昨年度に構築した測定系の構築・評価を引き続き行い、溶液系の生体関連分子や固体系の単一分子ダイナミクスへと研究を展開した。まず測定法としては、cw光を用いた単一分子レベルの蛍光相関の確立を行った。蛍光相関法は、通常、マイクロ秒からミリ秒以降の時間領域の測定に応用されているが、昨年度に完成した装置では、TCSPCボードを利用するため、装置の時間分解能は4ps程度(ただしAPDの分解能で最終的には決定されるので、数100ps)と高速の応答が期待できる。したがって、水溶液中の末端に蛍光色素を有する合成DNA分子を用い、特に短い時間領域の測定を行い、蛍光寿命に対応したアンチバンチング挙動の測定、評価を行い、サブナノ秒の時間分解能の達成を確認した。本装置を用い、数10nsから数100ns領域での相関波形の減衰(バンチング)を測定し、合成DNA分子系のコンホメーション変化に伴う、蛍光消光過程を検出した。また、微小液滴中の単一分子計測も研究対象とするため、ゲルに固定化された液滴試料作成条件を検討し、サブマイクロメートルサイズの液滴に、蛍光色素分子が数個以内に分散して取り込まれる条件を確立した。これらの微小液滴系における、色素の界面への吸脱着に伴う蛍光強度の変化と画像計測による位置の特定を含めて、測定法を確立できた。
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