研究課題/領域番号 |
20350012
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三枝 洋之 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (90162180)
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研究分担者 |
立川 仁典 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (00267410)
大場 正志 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (60115219)
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キーワード | 核酸塩基 / 赤外振動スペクトル / 塩基ヌクレオチド / レーザー脱離 / 非調和振動計算 |
研究概要 |
20-21年度の本研究により、塩基や塩基対とそれらの水和物の微細構造を赤外振動分光法により決定することができるようになった。この結果、実際のDNAの構造に対する水和の役割を分子レベルで解明するという展望が開けた。22年度はこれを発展させ、糖-リン酸基が結合した核酸塩基ヌクレオチドをレーザー脱離法により非破壊的に気化し、その高次構造とそれに及ぼす水和の影響を赤外-紫外2重共鳴分光法を用いて調べた。この研究は、愛知工業大学(早川芳宏教授)と名古屋大学(塚本眞幸助教)との共同研究として行われ、今後、複数の塩基同士が糖-リン酸基で結合したポリヌクレオチドへの展開が期待される。更に、グアニン-シトシン塩基対の-水和物を気相孤立化し、その微細水和構造を赤外分光法により検討した。その結果、水和によりワトソン-クリック型塩基対構造が変化しないことを明らかにした。 塩基ヌクレオシドやヌクレオチドのような柔軟な分子系の構造決定には、従来から行われてきた調和振動計算では不十分である。そこで本研究では山梨大学(八木清講師)との共同研究により、このような大規模分子系に適用可能な非調和振動理論を開発し、これを用いて塩基対や塩基水和の構造を決定することを試みた。その結果グアニンヌクレオシドやその水和物の赤外振動スペクトルを、低振動モードのカップリングを効果的に取り入れることにより、従来のようなスケーリング因子を用いることなく再現することが可能となった。
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