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2008 年度 実績報告書

連続カチオン環化による多環式芳香族化合物の系統的合成法.

研究課題

研究課題/領域番号 20350016
研究機関茨城大学

研究代表者

市川 淳士  筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (70184611)

キーワードカルボカチオン / フルオロアルケン / Friedel-Crafts反応 / 縮合環 / SN2'型反応 / ヘリセン / 分子内環化 / 脱水素
研究概要

フツ素は、強い電子求引性を持ちながら、その一方で非共有電子対の働きによりα位のカルボカチオンを安定化することができる。こうした興味深い性質を利用し、1,1-ジフルオロ-1-アルケンのフッ素置換反応を行うことで、ヘリセンを含む縮合多環式芳香族化合物の合成を達成した。
1,1-ジフルオロ-1-アルケンにプロトン酸を作用させて、ビニル末端炭素上にα位のフッ素で安定化されたカルボカチオンを発生させ、その分子内Friedel-Crafts反応を行うことにより、多環式縮合環骨格が効率良く構築できることを明らかにした。ここでは、一つ目のFriedel-Crafts環化の後、フッ化物イオンの脱離を伴って再びα-フルオロカルボカチオンが発生しており、これを分子内のもうーつのアリール基で捕捉することにより、one-potで一挙にドミノ環化が進行する。結果的に、二つのフッ素を各々分子内アリール基で置換した四環式化合物が収率良く得られる。これらの環化生成物のうち6/6/6/6環系の生成物は、脱水素反応によりヘリセン類へと誘導できた。
これら一連の反応によれば、分子両端のアリール基を二つの連続するベンゼン環(ナフタレン環)で接続できることになる。この芳香環連結反応を利用すれば高次ヘリセンの合成も可能である。すなわち、まずヘリセンの末端ベンゼン環上にメチル基を導入しておき、これを足掛かりに炭素鎖伸長を行い、新たなジフルオロアルケンを合成する。具体的には、ベンゼン環上のメチル基をハロゲン化後、金属一ハロゲン交換によりカルボアニオンを発生させ、生じるアニオンのSN2'型反応によりジフルオロアルケンを合成した。これに再び連続Friedel-Crafts型環化と脱水素を行えば、ベンゼン環を三つ増やしたより高次のヘリセンへと導くことができる

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 1,1-ジフルオロアレンへの求核付加反応による1,1-ジフルオロ-1-アルケンの合成2009

    • 著者名/発表者名
      渕辺耕平、上田美喜子、横田実咲、市川淳士
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学(船橋)
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] 二価パラジウム触媒による1,1-ジフルオロ-1-アルケンの活性化:分子内環化によるオキシインドール合成2009

    • 著者名/発表者名
      田辺寛幸、市川淳士
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      日本大学(船橋)
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] Electrophilic Activation and Cyclizations of 1,1-Difluoroalkenes with Cationic Palladium(II) Catalyst.2008

    • 著者名/発表者名
      K. Fuchibe, M. Yokota, D. Fujita, H. Tanabe, J. Ichikawa,
    • 学会等名
      第55回有機金属化学討論会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2008-10-29

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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