近年興味を集める多環式芳香族炭化水素には、らせん・環・直線構造といった多様な連結形式がある。本研究課題では、これらの芳香族化合物群全般の系統的合成法を確立する。フッ素のα-カチオン安定化効果と脱離能を利用したフルオロアルケンのFriedel-Cra負s型カチオン環化を基軸として、さらに脱水素(あるいは脱離)を組み合わせ、ベンゼン環の間に新たなベンゼン環を形成することで連結することにより、多環式芳香環骨格を効率的に構築する。この際、ビニル位フッ素と芳香環上の置換基の位置を選ぶことにより、各種連結形式に対応できる系統的合成手法となる。
|