(1) 生体高分子骨格を利用した金属錯体の精密集積化 ペプチドやDNAなど、生体高分子の合成手法は、ビルディングブロックであるアミノ酸やヌクレオチドを順番に縮合反応により連結していくため、デザインした「長さ」、「配列」を持つ生体高分子を合成することができる。分子鎖間に金属錯形成、電荷移動錯体形成などの会合力をプログラムすることにより、高次構造の形成が期待できる。この高次構造の中に金属錯体を精密に集積化する方法論を見いだした。今まで、平面四配位型の金属錯体を塩基対モチーフとした、人工DNAを構築してきたが、本研究では、金属錯体型人工DNAがFe(III)イオンやNi(II)イオンなど6配位金属イオンとの錯形成により三重鎖や二重鎖を形成し、精密組織が構築できることが明らかとなった。 (2) 高次の自己組織化による新化学空間の創出 適切なサイズと角度構造を持つ多座配位子と金属イオンの間の可逆的な配位結合により、熱力学的な安定構造として、環状構造などのモチーフを構築した。これらがさらにポリメリックな組織化により階層的な組織を作ることを見いだした。
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