1)より安定で高精度な液液光導波路(LLW)装置の開発 前年度の改良をベースに、ガス圧を用いる送液法を応用し、さらにマスフローコントローラーを導入し流速の安定化と再現性の向上を検討した。その結果、コア径が80μm程度の極めて細いLLWにおいても、LLW装置の安定性、操作性の面から、満足のいく装置となった。 2)数値流体力学(CFD)に関しては、より実際の装置に近いようなコア用の内管にテーパーをかけたモデルの構築を試み、現在、ほぼ、プログラムを完成させることができ、現在、そのプログラムを使用して、CFD計算を実施中である。また、H20年度購入した高感度カメラおよびH21年度購入した垂直軸観察用顕微鏡を用いて、LLW端面の光の分布を遠視野から測定する遠視野法およびLLWからの蛍光の発光を側面から観察する方法などを用いて実験的な解析を進めた。特にコアに拡散係数のちがう塩を添加するなどして蛍光や端面における導波光の違いなどを観察した。今後、これらのデータとCFD計算を比較・検討することによりLLWの性質をより詳細に明らかにする予定である。 3)LLWによる混じり合う溶媒間の界面における化学反応の観察 昨年度、主としてラジカル消去反応(アスコルビン酸によるDPPH(ラジカル)の消去反応を蛍光プローブの微量のローダミンBで検出する)に関して、検討を行い、界面における反応速度定数の算出に成功したが、今年度は、さらに、溶媒、流速など、LLWの様々なパラメーターを変化させて、反応に及ぼすそれらパラメーターの効果を観測・評価した。さらに同じ反応系についてバルク中での反応についても解析を行い、その結果、オーダーとしては同等の反応速度定数が算出された。
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