混じり合う溶媒間あるいは水と高塩濃度水溶液間の"液液界面"(これらを、以下「混じり合う溶媒間の界面」と呼ぶ)を新たな反応場および分離場として利用するとともに、界面選択的な計測・解析手法としての液液光導波路(LLW)法の確立を目指し研究を行った。本年度得られた結果は以下のとおりである。 1)ガス圧を用いる送液法などを応用するなどして、安定にLLWを生成できる装置の開発に成功した。 2)市販数値流体力学(CFD)用ソフト(STAR-CD)を用い、LLW用の計算プログラムを完成させ、種々の溶媒(NaC1水溶液/水系、テトラヒドロフラン/水、50%エタノール/水など)や様々なコアとクラッドの線流速条件のCFDシミュレーションを行った。特に、実際の実験と同一条件でもシミュレーションを行い、それらの結果を相互に比較した。実際の実験とCFDシミュレーションの結果は、基本的によく一致し、今回開発したシミュレーションプログラムによりLLWの性質を、かなりの程度推定できることが分かった。また、LLWの流れを決定する要因として、分子の拡散係数が重要であることが分かった。 3)LLWによりアルミニウムイオンとルモガリオンの錯形成反応をAl^<3+>-ルモガリオン錯体の蛍光により観察した。その結果、蛍光強度はLLWの下部に行くに従い強くなることが分かった。さらに、コアとクラッドの界面部分で反応がスタートし、徐々にコアの中心部に広がっていく様子が観測された。その結果はCFDシミュレーションの結果ともよく一致した。
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