研究課題/領域番号 |
20350042
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
丹羽 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 副研究部門長 (70392644)
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研究分担者 |
梅村 茂 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70316800)
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80154540)
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キーワード | 電気化学分析 / DNA / メチル化 / ナノカーボン薄膜 / オリゴヌクレオチド / シトシン / ECRスパッタ / 表面置換基 |
研究概要 |
エピジェネティックスの一例であるゲノムDNAのメチル化修飾は、個体発生や細胞分化、がん化等の観点から近年注目されている。しかしながら、従来のメチル化測定に時間が掛かり煩雑である。DNA中のメチル化量を、メチル化していないシトシン(C)とメチル化したシトシン(mC)の電気化学的な酸化電位の違いで識別するため、電位窓が広く、DNAに対して電子移動速度が大きいナノカーボン薄膜電極、及びそれを利用したデバイス開発を行った。その結果20年度は、以下の点について明らかにした。 (1)ナノカーボン電極を電気化学測定する際に、表面の構造、親疎水性は電気化学特性へ大きな影響を与える。そこで、電気化学的な前処理(0〜2Vまで電位掃引により表面に酸素を含む置換基を導入し、モノヌクレオチド、オリグヌクレオチドの応答を調べた。酸素を含む置換基が導入された膜では、より吸着性が抑制され、DNAの電気化学応答が良好であることが分かった。 (2)本提案書申請から採択までに、6merの短いオリゴヌクレオチドについて、mCとCを区別して定量できることを確認した。より長い配列の測定を実証するため、網膜芽細胞種(RB1)に関わる遺伝子配列についてメチル化の数と位置が異なる4つのシークエンス(12mer)を合成し、メチル化率の測定を行った。この配列はmCと酸化電位の比較的近いAを含んでいるにも係わらず、明確にmCの量の違いを測定できた。また、12merでは、メチル化された場所に依存せず、メチル化されたシトシン数のみに依存した応答が得られることが分かった。 更に、より長いDNA(2本鎖)からmCとその近傍の部分のみ酵素で切り出し、mCを定量する方法を考案した。酵素による切断と電気泳動による切断反応の確認、最適化、ECRナノカーボンによる測定を行い本方法の原理確認を確認した。
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