研究概要 |
昨年度までに得られた知見をもとにカップリング反応の天然化合物合成への応用の更なる検討と、簡便な操作で行える酸化的イミニウム塩の実践的合成法の確立、およびイミニウム塩に対する各種反応を中心に検討し、以下の成果を得た。 (1)各種α-アミノエステル、α-アミノケトンから得られるケテンシリルアセタールおよびシリルエノールエーテルをDDQ,NBSあるいはBPO等の各種酸化剤で酸化し、イミニウム塩を生成できる最も良い反応条件を見出した。見いだした最適反応条件で生成させたイミニウム塩に対し、各種求核剤の付加を検討し、四級炭素を有するα-アミノエステル、α-アミノケトンの一般的合成法に展開できた。 (2)Friedel-Crafts型の反応ではインドールなどのヘテロ芳香環化合物との反応も進行する事が解り、付加体から生理活性化合物へ展開できる骨格の構築ができた。 (3)有機アルミニウム試薬を用いてα-イミノエステルのN上をアルキル化した後に、酸化剤によりイミニウム塩を調製し、様々なエノラートを作用させたところ、>99:1という高ジアステレオ選択的にマンニッヒ反応が進行し、四級炭素を有するマンニッヒ生成物が得られることを見出した。さらにエノラートの立体化学をE,Zとかえる事により、ジアステレオ選択性の逆転も見出した。 (4)Grignard試薬等の有機金属試薬を用い、イミノマロネートの極性転換反応によりN上をアルキル化した後に、中間体であるエノラートに対し反応系内で酸化剤を作用させイミニウム塩を調製し、種々の求核剤を作用させたところ、立体的に混み合ったイミニウム炭素に求核付加が起こり四級炭素を有するアミノジエステルが得られることを見出した。
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