研究課題
本研究では、申請者らが独自に開発してきた水中における活性中間体の合成、ならびに、水中での完全選択的配糖化、という二つの基盤技術を融合することにより、無保護から複雑な構造を持つ配糖体を合成する手法の開発を目的とした。1.N-結合型オリゴ糖オキサゾリンの一段階合成2-クロロ-N,N-ジメチルイミダゾリニウム系脱水縮合剤を、卵黄から調製される非還元末端にシアル酸を有するN-結合型オリゴ糖に作用させることにより、水中で対応する糖オキサゾリン誘導体を一段階で合成した。2.酵素触媒による配糖化配糖化反応は、特に綿密な実験計画が必要であるので、以下の3つの観点から詳細な検討を行った。(1)糖オキサゾリンを最もよく認識する酵素触媒の探索EndoM酵素の変異体について、その糖転移能力を比較検討した結果、N175Q変異体を用いると最も高い収率で配糖体が生成することが分かった。(2)反応系内に混在すると予想されるさまざまな化学種に対する触媒酵素の安定性に関する基礎的知見の集積すでに、2-クロロ-N,N-ジメチルイミダゾリニウム系脱水縮合剤の副産物である、トリエチルアミン塩酸塩が、EndoM酵素触媒の活性に与える影響を予備実験的に調査した結果、酵素活性の低下が見られたことから、トリエチルアミン塩酸塩の除去方法を検討した。その結果、電気透析を用いることにより、塩化物イオンを除去することができた。また、脱水縮合剤として、塩素含まない2-フェニルオキシイミダゾリニウム塩を用いることで、酵素活性を低下させることなく、糖転移反応が可能であることを示した。(3)配糖体収率向上のために必要な諸条件(温度、濃度、pH等)の最適化種々反応条件を検討した結果、脱水縮合剤5当量、塩基としてリン酸カリウムを用いると、p-ニトロフェニルN-アセチルグルコサミニドへの転移が80%の好収率で進行することが分かった。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Chemistry Asian Journal
巻: 6 ページ: 1876-1885
10.1002/asia.201000896
Journal of Biological Chemistry
巻: 287 ページ: 693-700
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2011/02/press20110208-2.html