| 研究概要 |
平成21年度までに合成法が確立したヒ素含有高分子および環状化合物の種々の遷移金属への配位やその錯体の機能を検討することで14族や16族元素と比較してこれまで研究例がほとんどないヒ素素含有高分子および化合物の有用機能探索を行い、以下の成果を得た。
1) 発光on-offスイッチングを示す特異なベイポクロミズムの発見
1,4-ジヒドロ-1,4-ジアルシニン(DHDA)を配位子として得られるPt(II)単核錯体の金属中心の配位子をヨウ素に交換した錯体の再結晶を塩化メチレン/メタノール溶媒系で-20℃で行うことで得られる結晶が室温で赤色に強くりん光発光することを見出した。^1H-NMRスペクトルおよび単結晶X線構造解析の結果から、発光する結晶には再結晶時に使用した塩化メチレンが含まれていることが明らかとなった。そこで発光する結晶を80℃に加熱すると発光強度が著しく低下し、その^1H-NMR測定より塩化メチレンの脱着を確認した。また、これに塩化メチレンの蒸気をさらしたところ発光強度が回復するというベイポクロミズムを示すことを発見した。
2 ポリ(ビニレンヒ素)と遷移金属との高分子錯体
ポリ(ビニレンヒ素)を用いてパラジウム(II)または白金(II)の塩としてPdCl_2(PhCN)_2またはPtCl_2(PhCN)_2を作用させることでパラジウム(II)、白金(II)との遷移金属との錯体の合成を行い、パラジウム錯体はヘック反応に有効な触媒であり、白金錯体は液体窒素温度で固体発光することを見出した。
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