研究概要 |
シクロペンタジエンとアルケンのディールス・アルダー反応により合成されるノルボルネン誘導体をモノマーとするプラスチックは,高ガラス転移点を有する低複屈折・低吸湿性の光学材料として最近注目されている.一つはノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合した後水素添加したポリマーであり,もう一つは,1-アルケンとノルボルネン誘導体とのビニル共重合体(COC, Cyclo-olefin Copolymer)である.COCは,水添プロセスを必要とせず,コモノマーの種類,コモノマー組成,コモノマー連鎖分布により物性を制御できることから,シンプルなモノマーからクリーンなプロセスでさまざまなポリマーを合成することが可能である.しかしながら現在のところ嵩高いノルボルネンと良好に共重合するモノマーは少なく,エチレンとの共重合体のみが製造されている.実施者らは先にジメチルシリレン架橋フルオレニルアミドヂメチルチタン錯体(1)が適当な活性化剤共存下でプロピレンやノルボルネンの単独重合ならびに共重合に良好な活性を示すことを見いだしている.本年度は本触媒を用いてノルボルネンと高級1-アルケン(1-ヘキセン,1-オクテン,1-デセン)の共重合を行った結果,高級1-アルケンのアルキル鎖長によらず高活性でランダム共重合が進行し,共重合体のガラス転移温度はノルボルネン含率に応じて広範囲(50〜400℃)で制御できることを明らかにした.さらにノルボルネン含率92%の高ガラス転移温度(約300℃)を有する共重合体は,溶液キャスト法によるフィルム成型が可能で,90%以上の可視光透過率を示すことを明らかにした.
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