研究概要 |
シクロペンタジエンとアルケンのディールス・アルダー反応により合成されるノルボルネン誘導体をモノマーとするプラスチックは,高ガラス転移点を有する低複屈折・低吸湿性の光学材料として最近注目されている.一つはノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合した後水素添加したポリマーであり,もう一つは,1-アルケンとノルボルネン誘導体とのビニル共重合体(COC,Cyclo-olefin Copolymer)である.COCは,水添プロセスを必要とせず,コモノマーの種類,コモノマー組成,コモノマー連鎖分布により物性を制御できることから,シンプルなモノマーからクリーンなプロセスでさまざまなポリマーを合成することが可能である.しかしながら現在のところ嵩高いノルボルネンと良好に共重合するモノマーは少なく,エチレンとの共重合体のみが製造されている.実施者らは先にジメチルシリレン架橋フルオレニルアミドヂメチルチタン錯体(1)が適当な活性化剤共存下でプロピレンやノルボルネンの単独重合ならびに共重合に良好な活性を示すことを見いだしている.本年度は,COCに適度の反応性を持たせることを目的として,1をフリーの有機アルミニウムを含まない修飾メチルアルミノキサンで活性化した触媒を用いて,ノルボルネンと水酸基を有機アルミニウムで保護した10-ウンデセン-1-オール(U)の共重合を行った.その結果,側鎖に水酸基を有する高分子量の単分散COC(分子量分布分散度〓1.1)が得られることを見出した.また,水酸基含有量およびガラス転移温度はUの仕込み比に応じて制御できることを明らかにした.
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